娘ちゃんが2歳10ヶ月のころ、息子くんが産まれました。
ほにゃほにゃの新生児だった息子くんは、すくすく成長し、寝返りをしたり飛行機の姿勢を取ったりと、マイペースに活動しています。
そんな息子くんと、おませな娘ちゃんがどんなコミュニケーションをとっていくのか、発達の視点を絡めながら継続して観察・研究していきたいと思います。
息子くんが娘ちゃんを育て、娘ちゃんが息子くんを育てる。
共に成長していく2人を、理学療法士と上級心理カウンセラーの資格を持つママがみつめていきます。

息子くん、はじめまして!
生まれたその日のうちに、娘ちゃんは息子くんにご挨拶することができました。
おくるみで包まれた息子くんの頭をそーっと撫でて、自分のおててを嗅いでいました。
生まれた直後の髪の毛はサラサラではなく、ペッタリしているから不思議に感じたのかもしれません。それでも、嫌な顔をせず「いいにおい」とはにかむような笑顔をみせてくれました。
その後、息子くんのおててとあんよが見つからないと心配したり、お誕生日の歌を歌ってくれたり、すっかり優しいお姉さんのお顔になりました。
息子くん新生児、娘ちゃん2歳10か月
息子くんが新生児のころは、娘ちゃんからの一方的なアプローチが続いていました。
泣いていれば駆けつけてきて、「ミルク?眠い?」と声をかけてくれます。
おもちゃをたくさん運んできてくれたり、タオルをかけてあげたり。
保育園で覚えた歌やダンスを披露してくれたり。
息子くんからはっきりとした反応が返ってくるわけではありませんでしたが、
娘ちゃんは「大好き」の気持ちを、毎日届け続けていました。
息子くん1~2か月、娘ちゃん2歳11か月~3歳
息子くんが生後1ヶ月頃、少しずつ起きている時間が増えてきました。
毎日しつこいくらいに絡み続ける娘ちゃんの存在を、ついに認識し始めました!
アイコンタクト
目が合うようになったこと、追視ができるようになったことで、2人の関係はどんどん縮まりました。
仰向けで追視ができるということは、首がある程度左右に振れるということです。
声がするほうを向くことができるのです。
娘ちゃんにとって、これは大変うれしい出来事だったようです。あっちからもこっちからも声をかけて、息子くんがキョロキョロと自分を探す様子を満喫していました。
「こっち見た!息子くんもねえねのこと大好きなんだって!」と嬉しそうに笑っていました。
筆者はその状況をみながら、新生児期の娘ちゃん主体のアプローチを思い出しました。
娘ちゃんの「大好きだよ~」の想いを込めた働きかけに、生後1か月の息子くんが意思をもって応えてくれたこと、その瞬間を発見できたことが、筆者も嬉しかったです。
にっこり
息子くんがなんとなく笑うようになりました。
娘ちゃんは息子くんが笑うと嬉しくて、もっともっと笑わせようと、おもちゃをたくさん運んできたり、歌やダンスを激しめに披露するようになりました。
社会的微笑
2カ月頃になると、周りの大人の刺激に反応して笑うようになります。
これは、視力の発達に関係しており、赤ちゃんはママの表情を認識し、マネするようになります。つまり、ママが赤ちゃんを見つめるときの笑顔をマネしているのです。
さらに、赤ちゃんは自分が笑うと、ママも笑顔になることを学習していきます。
社会的微笑が始まると、赤ちゃんは周りの人と親密な関係を形成しようと、活発に活動し始めます。
息子くんは、娘ちゃんに笑いかけることで、娘ちゃんからのかかわりを引き出しているのです。
お喋り
「あー」「んんー」といったクーイングが始まりました。
クーイング
「あー」「うー」といった母音を中心とした、柔らかい音を発する行動のこと。
赤ちゃんが外界とコミュニケーションを取ろうとする意図的な行動として捉えられている。
泣き声以外の方法で自分の存在や感情を表現する、言語発達の第一歩!
息子くんが声を出すと、遠くで遊んでいても「ねえねはここにいるよー!」と走ってきます。
「なんて言ってる?」と娘ちゃんと聞くと、「お姉ちゃん大好きって言ってるよ」「一緒に遊びたいんだって」と積極的に翻訳してくれました。
娘ちゃんの声に呼応するように、息子くんも声を出していました。
娘ちゃんと息子くんの元気な声が聞こえるので、覗いてみると、おままごとをして遊んでいることがよくありました。生後1か月でも、食べるまねっこはとても上手です。
息子くん3か月、娘ちゃん3歳
生後3ヶ月になると、娘ちゃんの声がすると手足をバタバタさせて、「お姉ちゃん、こっちに来て!」と嬉しさをアピールをするようになりました。
名前
息子くんは自分の名前を認識しているかのような反応を見せ始めました。
名前を呼ぶと笑ったり、「あー」「ううーん」と、お返事しているような仕草に娘ちゃんはメロメロ、特別な用はないけど名前だけを連呼してることも多々ありました。
そんな娘ちゃんの様子を見て、息子くんも嬉しそうに、身体全体で表現していました。
この時期の息子くんが、自分の名前を本当に理解していたのかは定かではありませんが…
なんとも可愛らしく、尊い瞬間でした。
娘ちゃんが息子くんに対して行っていたのは、心理学的には「ネームコーリング効果」と呼ばれるものです。
呼ばれた側は、自分の存在を認めらえたと感じ、名前を肯定的に扱ってくれる相手に無条件で親近感や心地よさを感じます。
手を伸ばす
いよいよ手を伸ばす動作(リーチング)が始まりました。
中でもお気に入りは、娘ちゃんの髪の毛です。
腰のあたりまで伸びているため、朝ごはんの最中やお風呂の後はひとつに束ねています。
息子くんを娘ちゃんの近くに転がしておくと、目の前でゆらゆら揺れるポニーテールが気になるようで、おててを一生懸命に伸ばしていました。
握ったり開いたりはまだ難しいですが、指の間や手のひらを娘ちゃんの髪の毛がするする通るのが面白かったのかもしれません。
また、黒いから見やすい、という点もお気に入りポイントのひとつだったのかもしれませんね。
娘ちゃんも、わざわざ息子くんの近くに触って髪の毛をいじらせてあげたり、自分のお顔にも触れてほしくて、息子くんのおててを引き寄せていました。
息子くん4か月、娘ちゃん3歳1か月
「やめて!」の表現
快・不快がはっきりしてきたのはこの頃でした。
ある日、おててを繋ごうとしたら…
息子くんが嫌がるそぶりをみせたのです。
「んー!!」と怒ったような声を出して、おててを振り払ったり足をちょこちょこ動かします。
その光景を初めてみた娘ちゃんはフリーズ。
「嫌がられた」ということを理解すると娘ちゃんが大きな声で泣き出してしまいました。
これまではされるがままだった息子くんが、抵抗らしい抵抗をしたのです。
ただ、3歳の娘ちゃんにとっては衝撃的な出来事でした。
息子くんの気持ちと娘ちゃんの気持ち
その後も、娘ちゃんのかかわり方が不快な時は遠慮なく嫌がる息子くん。
娘ちゃんはというと、「息子くんにおもちゃあげたいだけなの!」「もうやだ!」と大泣きしたり、プリプリ怒ってしまいます。
これは、どちらも悪くありません。発達に伴うちょっとしたすれ違いです。
姉弟なら良くあるに決まっています…!
とはいえ、早急に解決に向けて対策を考える必要があります。
3歳の娘ちゃんは、自分中心の世界にいて、受け取り方もまだまだ極端です。
なので、「今は気分じゃないみたいね」「違うおもちゃがほしいのかな?」「好きなものを選んでもらう?」と息子くんの気持ちを代弁するようにしていました。
同時に、娘ちゃんが息子くんのために何かしようとしてくれた気持ちを守ることを大切にしました。「娘ちゃんのせいで泣いているんじゃなくて、おなかがすいて不機嫌なだけだよ。遊んでくれようとしてくれてありがとうね」と筆者からは感謝の気持ちを伝えました。
空回りしたり、加減ができず強すぎたりといろいろありますが、
「可愛」「お世話したい」「遊んであげたい」という想いがあるからこそです。
それだけ娘ちゃんにとって息子くんの存在が大きくなっているということです。
そんな温かい気持ちを、まずは尊重するように心がけていました。
おもちゃの貸し借り
これまで、息子くんは自分で持っているおもちゃを娘ちゃんに取られてしまっても、キョトンとした顔で見つめるだけでした。でも今後はそうはいかないでしょう。
おもちゃの貸し借りに関して、ルールを1つ作りました。それは、息子くんが使っているおもちゃを娘ちゃんが使いたくなった時は、「貸して」と顔を見て言うことです。
息子くんは「どうぞ」「貸して」「いいよ」がまだわかりませんが、近いうちに 2人の間で貸し借りのコミュニケーションが行われるのは明白だからです。
そして、反対に息子くんが娘ちゃんのおもちゃを触りたがっていると感じた時は、
親が「貸して」を代弁するようにしていました。
息子くん5か月、娘ちゃん3歳2か月
5ヶ月頃になると、いよいよ息子くんは、「貸して」に対して、「このおもちゃはぼくの!」というような意思表示をし始めました。
この変化は娘ちゃんにとってもかなり大きなものだったようで、良くも悪くも作用しました。
成長
良かったことは、幼い弟が交渉相手に成長したこと。
ものの貸し借りは、「貸して」の一方通行ではなく、
相手の「いいよ」というお返事があって初めて成立します。
もちろん、相手から「だめ」「まだ使いたい」というお返事があれば、貸し借りをいったん中断することが望ましいです。強奪するのはよくありません。
では、どうしても今使いたい時はどうすればいいのか。
はじめはママと一緒にお願いの仕方を考えて、ママと一緒に息子くんにお話しをしました。
するといつの間にか、娘ちゃんなりに時と場面に合わせて自分で交渉するようになりました。
一緒に遊ぼうと誘ったり、代わりのおもちゃとの交換を提案したり、順番を待ったりと、意外にもしっかりとした人対人のコミュニケーションが成り立っています。
反動
ネガティブな作用としては、娘ちゃんにとってはストレスを受ける場面が増えたということです。
これまでは、保育園に通う娘ちゃんにとって、お家は100パーセントで甘え、優先してもらえる場所であり、思い通りに過ごせる場所だったはずです。
それが、息子くんの自我の成長に合わせて少しずつ制約が増えてしまったのです。
ひとつひとつは小さなストレスでも、積もっていけば相当な負担になります。
一時的に、以前より感情のコントロールがうまくいかなくなったり、息子くんに対して少し乱暴な言動がみられたりしました。
それでも、息子くんが無邪気に笑いかけてくれるのが嬉しいのか、2人はすぐに仲直りしてくれます。
とはいえ、娘ちゃんのストレスをこのままにするわけにはいきません。
赤ちゃん返り
3歳児は、ある程度の意思疎通ができます。絵本やテレビからの知識、周りの人から聞いた話からも情報を次々とキャッチしています。もちろん、赤ちゃんがひとりで何もできないことや、ママが赤ちゃんの世話で忙しいことも理解しています。
理解できるから、大切なママにはゆっくり休んでほしいのに、自分の要求にいつまでも蓋をしておくのは困難なのです。まだまだ甘えたい盛りですから、当然のことです。
加えて、3歳児は、外の世界で感じる不安やストレスにも敏感になり、家庭で安心を求めるようになります。
その安心できるはずの場所が、下の子の誕生により、脅かされているのです。
外でも家庭でも落ち着けず、結果として、赤ちゃん返りが複雑化・深刻化しやすくなります。
3歳児の赤ちゃん返りは、単なる欲求の表れではなく、心の調整が必要な場合が多くなります。
次の項からは、お姉ちゃん/お兄ちゃんがに対するケアについてお伝えしていきます。
愛情表現はたっぷりと
スキンシップやポジティブな言葉かけをたくさん行うと、不安な気持ちが減っていきます。
いつもできていることでも、小さなことでも、お姉ちゃん/お兄ちゃんを積極的に褒めましょう。
「自分は愛されている」と実感できるよう、何度も「大好き」な気持ちを届けましょう。
気持ちを受け止める
できるだけ要求を受け入れ、叶えてあげましょう。
気が済むまで甘えた後は、いつも通りのお姉ちゃん/お兄ちゃんに戻ることができます。
叱りすぎない
やむを得ずお姉ちゃん/お兄ちゃんを叱らなければならない場面はあります。
しかし、赤ちゃん返りには、不安や愛情確認の意味があるため、叱りすぎはNGです。
叱った後は抱きしめたり、頭をなでたりスキンシップの時間を作ると、お互いに温かい気持ちになれますよ。
親も気分転換をする
親も上手に不安やイライラを解消しましょう。
心によゆうがあれば、子ども達とゆっくり過ごすことができます。
好きなものを食べる、あたたかいお茶を飲む、音楽を聴く、本を読むなど、短時間でもできそうなことを見つけてみましょう。
子育てをしながらだと難しい部分もありますが、上手に息抜きをしましょう。
自分だけで頑張るのではなく、家族や自治体の子育てサポートなどを頼ることも大切です。
子どもに感謝の気持ちを伝える
お姉ちゃん/お兄ちゃんに感謝の気持ちを伝えるのも効果的です。
どんなに小さなことでも「ありがとう」と言葉にすることで、お姉ちゃん/お兄ちゃんは「自分が認められている」「自分が必要とされている」と感じられます。
また、「自分のことも見てくれている」と、愛情を確認することもできるでしょう。
ぜひ、たくさんの「ありがとう」を伝えてあげてください。
ハードルを下げてあげる
「お姉ちゃん/お兄ちゃんだから」という思考はよろしくない。
ということは、もはや誰もが知るところです。
では、「〇歳だから」と思ったことはありますか?年相応の言動を求めたことはありますか?
それも期待しすぎです。「年相応」で考えると、無意識にハードルが高くなる傾向にあります。
特に、赤ちゃん返り中のお姉ちゃん/お兄ちゃんには難題です。
「生まれてたった〇年」と考えましょう。
こう考えると、まだまだ幼いという気持ちが自然と湧いてきます。
お姉ちゃん/お兄ちゃんだって甘えたい盛りです。
一人でできるはずの身支度も、ママにお願いしたくなることだってあります。
疲れたらママにぎゅっと抱きしめてほしい気分になるのです。
2人きりの時間を作る
お姉ちゃん/お兄ちゃんと親が2人きりで過ごせる時間を作ることも大切です。
どうしても月齢が小さい子どもの方に手がかかるのは当然ですが、お姉ちゃん/お兄ちゃんも構ってほしいと感じています。お姉ちゃん/お兄ちゃんとの時間をつくるように意識すると、安心感や自己肯定感が満たされていきます。
家族と協力したり、自治体の育児サービスに頼ってりして、下の子どもを見てもらう時間を作ってみてください。それらが難しい場合は、朝や寝る前の短い時間でもOKです。
親を独占できる時間をつくることで、お姉ちゃん/お兄ちゃんに穏やかな笑顔が戻ります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
姉弟コミュニケーション研究では、息子くんと娘ちゃんがどんなコミュニケーションをとっていくのか、発達の視点を絡めながら継続して観察・研究していきます。
息子くんの新生児期~3か月ごろまでは、娘ちゃんが主体となり、息子くんは受け身中心のコミュニケーションが行われてきました。
生後4か月ごろ、息子くんの自我が発達してくると、娘ちゃんへのかかわり方が、だんだんと能動的なものとなり、声や表情、身体いっぱいを使ってコミュニケーションをとるようになりました。
また、息子くんに快・不快の感情が生まれたことで、娘ちゃんとの関係性に変化が起こりました。
どちらか一方がご機嫌なだけでは、楽しい時間は長続きしなくなったのです。
どうしたら2人で楽しい時間が過ごせるのか。それぞれが自由な時間が過ごせるのか。
筆者としては、今後2人が、どんなかかわり方をしていくのか、とても楽しみです。
息子くんが娘ちゃんを育て、娘ちゃんが息子くんを育てる。
そんな姿を特等席でみられるなんて、とっても幸せです。

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