「ママのお話し聞いてる?」「さっきも言ったよね?」
何度言っても伝わらない、効果的な声かけが知りたい、なんてお悩みを抱えるママやパパは多いはず。そんな悩みをかかえるママやパパにとって、本記事が少しでもお力になれますように。
理学療法士と上級心理カウンセラーの資格をもつ筆者が、全3回に分けて「子どもの脳と心にとどく声かけ術」について解説していきます。
本記事は、第3回「3原理、5原則を活かした声かけフレーズ」についてのお話です。

前回までの復習
3原理、5原則を活かした声かけフレーズを整理する前に、まずは前回までの復習からしていきましょう!
運動3原則
✔ 過負荷の原理: 声かけの変調により脳の注意システムを起動させる
✔ 特異性の原理:狙った行動をピンポイントで指示する
✔ 可逆性の原理:何度も回路を補強し、できている時こそ声をかけて定着させる
脳が「お話を聞く準備」「次の行動に移る準備」を整えられるよう、声かけのトーンやタイミングを工夫して脳の注意システムを起動させることが必要でしたね。
また、特定の行動に対して、同じフレーズやルールを繰り返し行動を再現することで回路を補強することができました。
できている時こそ声をかけることで、特定の行動を定着させることも大切でしたね。
運動5原則
✔ 意識性の原則:理由や目的を子どもが理解できるように伝える
✔ 全面性の原則:結果だけを評価するのではなく、プロセスを丸ごと認める
✔ 専門性の原則:具体的に伝える
✔ 個別性の原則:その子自身の特性に合わせて言葉を選ぶ
✔ 漸進性の原則:小さな目標を提示する
効果的な声かけには、プラスアルファのひと工夫が大切でしたね。
ありがちフレーズを深堀りする
今回は、運動3原理と6原則を活かした声かけを深掘りしていきます。
日常生活でだれもが経験されているはずです。
ご紹介するのは「いい子にしなさい」と「お片付けしなさい」です。
最後には、筆者がフレーズを使用しながら、3歳の娘ちゃんと実際にしたやりとりをチャット形式にして掲載してみました。
皆様も、ご自身のお子様とのやり取りをイメージしながら読み進めてください。
ありがちフレーズその①:いい子にしなさい!
ドキッとされたママやパパ、多いと思います。(筆者もつい出てしまいます…)
日常生活にありがちなフレーズのひとつですね。
次のセクションでは良い例を原則にあてはめながら整理していきます。
なお、ここでの「いい子」とは、いい姿勢で椅子に座ることとします。
皆様がお気づきの通り、「いい子」がどんな子なのか、子どもたちにはサッパリわかりません。
意識性の原則(目的の言語化)
なぜ今、椅子にちゃんと座る必要があるのかという理由を脳に理解させます。
前頭前野が働き、座ることに納得すると、強制された姿勢ではなく、自発的に座ろうとする意欲が生まれます。
「ご飯を食べるからお椅子に座ろうね」
「しっかり座ると、噛みやすくなるからご飯がもっと美味しくなるよ」
全面性の原則 (多角的なアプローチ・心理的安全性)
姿勢を保つために頑張っている身体全体の努力や、座ろうとしている気持ちを丸ごと認めます。
自分の努力を全面的に肯定されることでオキシトシンが分泌され、正しい姿勢保持に必要な刺激が入りやすくなります。
「お椅子に座ろうとしてくれて、お母さん嬉しいな!」
「お腹と背中にしっかり力が入っていて、すごくカッコいいよ!」
専門性の原則(ピンポイント指摘)
「いい子」という曖昧な言葉を使わず「姿勢よく座る」という動作をピンポイントで言語化します。
具体的な指示により、子どもは迷うことなく正しい姿勢をとることができます。
「背中をピンと伸ばしてね」
「お尻を椅子の奥にくっつけて座ってみよう」
「足の裏は床にぺったんこだよ」
個別性の原則(オーダーメイド)
子どもの発達段階や、その時の状態(疲れている、飽きているなど)、個性に合わせて座り方を調整します。
子どもに合わせた声かけや環境調整を行うことで、無理な姿勢保持によるストレスを防ぎ、不快感を減らします。
「(体幹が弱く長く座れない子に)背中にクッションさんを挟んでみようか」
「(疲れた子/飽きた子に)深呼吸しようか/少しストレッチしようか」
「(ヒーローが好きな子に)立派なヒーローは背中を伸ばして座るんだよ」
漸進性の原則(スモールステップ)
「ずっと姿勢よく座り続ける」のはハードルが高いため、小さな目標から始めます。
終わりが見えることで、脳の報酬系ネットワークが働きやすくなります。
3分間クリアできたときの達成感が「次も頑張ろう」という脳の成功体験になります。
「あと3分だけ座ってみよう!できたら終わりにしようね」
ありがちフレーズその②:お片付けしなさい!
こちらもよく聞くフレーズのひとつですね。
そこらじゅうに散乱するおもちゃを見て、フリーズしている子どもたちが目に浮かびます。
さっそく、受け取りやすい伝え方をみていきましょう。
おもちゃをお片付けしよう。そうしたら、また遊ぶときにすぐに見つけられるよ。
→意識性の原則(目的の言語化)
パズルはこっちの青いケースに入れてね
→専門性の原則(ピンポイント指摘)
(お片付けが苦手な子や、疲れている日に)今日はいっしょにやろうか。
娘ちゃんは絵本担当、お母さんはブロック担当ね。
→個別性の原則(オーダーメイド)
(まだ全部は終わってないけど)絵本を棚に戻してくれたんだね!
お部屋がスッキリして、お母さんすごく嬉しいな。
→全面性の原則(多角的なアプローチ・心理的安全性)
まずはブロックを3つだけ箱の中に入れてみようか。それができたら教えてね!
→漸進性の原則(スモールステップ)
いかがでしょうか。
ほんの少し伝え方を工夫するだけで、子どもたちのお片付けスイッチがONになります。
イメージしよう
すべてを盛り込むのは大変です。
ご自身のお子様をイメージしていただき、マッチしそうなものを選ぶと使いやすくなります。
慣れきたら2つをセットで使ってみるなど、いろいろな組み合わせを試すのも良いでしょう。
5原則はゲームで例えると「攻略法」にあたります。
子どもたちはどんな言葉を受け取りやすいのか、受け取ったらどんな行動をするのか、思い浮かべながら作戦を考えていきましょう!
以下は筆者と3歳の娘ちゃんのありがちフレーズ実体験です。
皆様がお子様方とのやりとりを、より鮮明にイメージするヒントになれれば幸いです。
ケース①「お行儀よく食べなさい」
(ダラダラ食べる娘ちゃん。とんでもなくお行儀が悪い)
筆者:今日は背中をピンと伸ばして座ってるね!
娘ちゃん:そうだよ~!(背筋を伸ばしお皿に手を添える)
筆者:見ていてすごく気持ちがいいな~
娘ちゃん:みて!肘ついて食べないんだよね!
筆者:プリンセスみたいに美しい!お行儀いいね~ごはんがいつもよりおいしいね~
娘ちゃん:うん!お行儀いいから、おいしいなんだよね~
筆者:その通り!お行儀よく食べるとごはんがおいしんだよ
ケース②「お片付けしなさい」
(ブロックが散乱。娘ちゃんの周りにはない。おそらく蹴った)
筆者:あら、ブロックを隅によけておいてくれたの?なんとなくすっきりしてるね
娘ちゃん:そうだよ~
筆者:ついでに、ブロックをこの箱に入れてくれないかな?
娘ちゃん:いいよ~(ブロックを片付け始める)
娘ちゃん:ママ~やって~
筆者:いいよ~すっごくきれいになったね!あ、隊長!机の下のブロック全部拾ってきて~
娘ちゃん:ラジャー!(ほとんどひとりでブロックを片付ける)
筆者:助かったよ~ありがとう!ピカピカで気持ちいいね!夕ご飯もおいしく食べられそうだね!娘ちゃん、プリンセスのお洋服でパワーアップしてるから絵本もいけるかも!
娘ちゃん:も~しょうがないなあ!こんなにいっぱい持てるんだよ!
筆者:最高!もう何もないよね!ママには見えない!
娘ちゃん:まだだよ!ぬいぐるみ寝かせてくる!(ぬいぐるみを片付けに行く)
筆者:お部屋ピカピカでうれしいね!ピカピカぎゅーしよ!(褒めちぎる)
最後は褒めて終わる
さて、みなさま。可逆性の原理をお忘れではありませんよね。
最後にこれでもかと成功体験とを言葉にしてインプットしていきます。
本人の達成感や嬉しい気持ちをしっかりとキャッチして褒めることで、神経回路が補強され習慣化されていきます。
まとめ
ここまで、3原理、5原則を活かした声かけについて解説してきました。
お子様方にぴったりな攻略法はみつかりましたか?
子どもの脳にきちんととどいた言葉は、身体をポジティブに動かす手助けとなり、心を満たしてくれるはずですよ。
いつものやり取りにほんの少し付け加えるだけで、子どもの行動がほんの少し変わるはずです。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
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