停滞期をみつめてみませんか ♯2

子どもも大人も、右肩上がりの直線ではなく、階段のように急成長と停滞を繰り返しながら成長していきます。
特に乳幼児期から青年期にかけての発達はめざましいものがあります。
しかし、成人期以降、もちろん老年期においても衰退の過程ととらえられるべきではありません。
「生涯発達」という考え方が広まってきています。

停滞期には何が起こっているのでしょうか。どんなふうに接してあげたらいいのでしょうか。
この停滞期の謎は、分化と統合にヒミツがあるかもしれません。

当ブログでは、理学療法士と上級心理カウンセラーの資格を持つママが、各年代での停滞期を見つめていきたいと思います。

今回はその第2回「学童期の停滞感」についてです。

エリクソンによれば、学童期は 劣等感との戦いの時期とされていますが、実際の学童期には、劣等感以外にも問題が盛りだくさんです。
また、学童期は6歳~12歳と幅も大きく、その時期特有の停滞期があるといえます。

この記事は、
 ✔ 学童期のもモヤモヤに関して理解を深めたい
 ✔ 小学生の人間関係に悩んでいる
 ✔ アイデンティティの入り口を知りたい

そんな方々に向けて作成いたしました。

解決のヒントや、少しでも、身近な方の理解につながれば幸いです。

学童期の特徴

新1年生の中には、新しい環境で混乱している子どもたちも多いです。
規律や評価の世界で、精神的に不安定になることも多くあります。
中学年になるころには、かの有名な9歳の壁が立ちはだかります。
高学年となれば、思春期への入り口はもうすぐそこです。
アイデンティティの確立に向け、少しづつ「自分が何者であるのか」認識し、自分のものさしをつくりはじめています。

小学校1~2年生の停滞期

幼児期から児童期への移行期であり、新しい環境への適応にエネルギーを使い果たすことで停滞が見られます。

自己責任と規律への変化

保育園では先生が常に目を配り、子どものペースに合わせてくれました。
小学校では、45分間じっと座る、時間通りに行動する、自分の荷物は自分で管理するなど、強い自律を求められます。

評価される世界へ

保育園での工作や絵は、どんな作品でも「上手だね!」と認められました。
小学校では、出来栄えやテストの点数、赤ペンでの直しなど、評価されることで明確に正解と不正解に分けられます。
1・2年生はまだ精神的に幼いため、×をつけられるだけで全否定されたかのように感じてしまいます。

お膳立てのない人間関係

保育園では、先生が「〇〇ちゃん、一緒に遊ぼうって」というよう、自然に全員が輪に入れるようサポートしてくれていました。
小学校では、自分で友人関係を作っていかなければなりません。

小学校1~2年生のサポート

大人でも、職場が変われば混乱し、精神的にも疲れることでしょう。

小学校1~2年生は、幼児期に戻ってしまったかのように甘えたり癇癪を起すことがあります。
これらは、子どもが学校のルールに適応しようと、真面目に全力で闘っているサインです。

決して、子どもたちが弱かったり、わがままだったりするわけではありません。

甘えには120%で応える

幼児の頃のように、おだやかに、優しく受け止めてあげてください。
心が満たされると、子どもたちは自分から、自然に小学生の顔に戻っていきます。
抱っこで着替えさせたり、「アーン」とご飯を食べさせてあげる、そんな日があっても良いでしょう。

行き渋りの強い子どもたちには、心の安心グッズがおすすめです。
ハンカチに大好きなママ・パパの香水を少しだけつけたり、手のひらに小さな内緒のマークを描いたり、「寂しくなったらこれを見てね」とお手紙を渡すなど、家庭とのつながりを意識させることで、新しい環境に挑む力が湧いてきます。

不機嫌や無気力の理由は追求しない・反論しない

ささいなことで怒ったり、ぼーっとしていたりしても、「そっか、悔しかったね」「嫌だったね」「お疲れさまだね」と、まずは感情そのものだけを受け止めてあげてください。

不機嫌な子には、気が済むまで発散させてあげるのが回復への一番の近道です。
ぼーっとしている子は、脳も体も疲労困憊です。
ランドセルを床に放り投げても怒らず、まずはおやつを出して、ゆっくりさせます。

のんびりしきったたあとは、心のバケツが空になり、少しずついつもの調子が出てきます。

学校の話はあえて聴かない

帰ってきて不機嫌なとき、落ち込んでいるときは、学校のことを思い出すだけでもストレスになります。「今日はどうだった?」という質問は一度お休みして、お家の中を学校の規律から完全に解放された空間にしてあげましょう。

まずは「おかえり!今日も歩いて帰ってきて偉かったね!」と、明るく出迎えましょう。
本人が話し出したらたくさん聴いてあげましょう。

小学校3~4年生の停滞期

「9歳の壁」と呼ばれる時期で、心と頭の発達に最も大きなギャップが生じる、学童期最大の停滞期です。

抽象的思考への移行のつまずき

算数の分数や文章題、理科や社会のなど「目に見えない概念・仕組み」が増え、これまでの丸暗記の勉強法が通用しなくなります。自分の苦手な分野や限界に気づいて挫折感を味わいやすくなります。

「努力のコスパ」を気にし始める時期もこのあたりからです。「こんなにやっても分からないならやるだけ無駄」と、評価される世界から自分を守るために勉強を拒絶するようになります。

客観的な自己の目覚め

自分を客観視できるようになり、「あの子に比べて自分は劣っている」という劣等感による停滞が本格化します。

幼児期は「親に褒められるか」が全てですが、学童期は勉強、運動、外見、優しさなど評価軸が細分化します。

集団の固定化

家族よりも「同世代の仲間」を優先するようになります。
3・4年生は、気の合う仲間で結束する「ギャングエイジ」の時期であり、仲間意識が特定の誰かを意図的に排除する動きを強めます。

友達関係が高度化し、自分の立ち位置への焦りが生まれたり、人間関係に悩む子どもも増え始めます。

小学校3~4年生のサポート

勉強はスモールステップ

分からない部分があれば、簡単なレベルまで戻り、「これなら解ける!」というできる自分の感覚(自己効力感)を復活させてあげます。

他者と比較するのではなく「去年の今頃に比べて、こんなに難しい漢字が書けるようになったね」と、本人の成長の軌跡を言葉にします。

「〇〇くんはもう終わったって」「お姉ちゃんはできてた」は絶対に禁句です。

サードプレイス(第3の居場所)

学校の枠を超えて、仲間意識や集団のルールを身体感覚として学びます。

学校のテストの点数とは関係なく、ドッジボールが強い、虫捕りが上手いといった、その空間固有のヒーローになれるチャンスがあり、自己肯定感を育めます。

学校の評価軸とは違う「習い事」:
スポーツ、音楽、プログラミング、絵画など、子どもの「好き」や「得意」が活かせる習い事がおすすめです。同じ趣味を持つ仲間ができることで、別の親密性が芽生えます。

地域のコミュニティや異年齢の交流:
異年齢が集まる児童館、地域のサークルやボランティア活動などに参加するのも手です。
同世代のギャンググループが苦手な子でも役割を見出せるケースが多くあります。

小学校5~6年生の停滞期

体も心も大人に近づき、内面の複雑さからくる停滞が見られます。

「自分は何者か」を悩むあまり、一時的に行動力や表現力が低下(停滞)したように見えます。

この時期の自己探求は、低学年のような「足が速い」「勉強ができる」といった表面的な評価から、自分の内面や性格への関心へとシフトします。

アイデンティティの模索

親や大人の矛盾や不完全さに気づき、反発することで「親から独立した一人の人間としての自分」を確立しようとします。
客観的な自己分析ができるようになる反面、理想の自分と現実の自分のギャップに悩み、急に口数が減ったり、自信をなくして投げやりな態度をとったりすることがあります。

男女ともに体つきが大人に近づく時期です。
周囲との成長スピードの違いに強い不安やコンプレックスを抱きやすく、それが自己肯定感の揺らぎに直結します。

友人関係の固定化

「価値観や内面の結びつき」を重視する関係へと変化します。

表面的な遊びだけでなく、「悩みを打ち明けられるか」「秘密を共有できるか」という精神的な一体感を友達に求めます。これにより、親よりも友達の意見を優先するようになります。

この時期の友人関係のトラブルの傾向は、男の子か女の子かによっても(男子はパワーバランスや序列、女子は精神的な連帯や派閥など)大きく異なるということも特徴のひとつです。

グループ内のルールや同調圧力に悩み、内面にエネルギーを割くため、外側への意欲(勉強や家族との関わり)が停滞します。

5~6年生のサポート

見守り

あれこれ問い詰めたり、プライベートに踏み込みすぎたりするのは逆効果です。

「何かあったら味方になるよ」というスタンスを崩さず、子どもが自分から話してくるのを待つ余裕が必要です。

大人に対する反抗的な態度や、偏った友人優先の考え方に直面しても、すぐに叱責せず「そう思うんだね」と一度受け止めます。その上で「こういう見方もあるよ」と一歩引いたアドバイスを伝えます

家庭を「安全基地」にする

外(学校や友人関係)で常に気を張り、アイデンティティの模索で疲れ果てている子供にとって、家は「ありのままの自分でいられる場所」である必要があります。

男子にとっては外での役割やプライドの重荷を下ろせる環境、女子にとっては感情を吐き出すことができる環境づくりが大切です。100%味方だと信じられる安全基地が必要です。

サードプレイス(第3の居場所)

高学年の子どもにとってのサードスペースは、学校という枠から避難し、アイデンティティを保護するシェルターとして機能します。

学校でのカーストが無効化され、「学校の評価や関係性がすべてではない」と肌で実感できることが最大のメリットです。

また、学校では、グループを乱さないための仮面を被って疲弊しています。
利害関係のないサードスペースでは、その仮面を脱ぎ捨て、自分の好きなこと(趣味や勉強)に没頭し、素の自分を取り戻すことができます。

サードスペースにいる塾の先生、習い事のコーチ、近所のお兄さん・お姉さんなどは、親のように小言を言わず、学校の先生のように評価もしない「斜めの関係」の大人です。
親や友達には言えない本音や悩みを、こうした大人にポロっと打ち明けて救われるケースが非常に多いです。

学童期の分化と統合

学習面

学童期の学習は、主観的な世界から客観的で論理的な世界、抽象的思考へと大きく変化します。

分化:教科の細分化と論理の客観化
国語、算数、理科、社会といった教科ごとの特性や思考法が明確に分化します。
物事を数、量、時間などの要素に分解して、客観的に捉えられるようになります。

統合:知識の関連付けと体系化
分化した知識がつながっていきます。算数で習ったグラフが理科の実験データ整理でも使えるといった形で、教科をまたいだ統合も行われていきます。これによって、応用力や体系的な思考力が育ちます。

メンタル面

感情が豊かになる一方で、内面の葛藤を抱えやすい時期です。

分化:複雑な感情の自覚
幼児期のような「嬉しい」「悲しい」といった単純な感情から、「悔しいけれど相手を認めざるを得ない」「楽しみだけど緊張する」といった、複雑な感情や葛藤を認識できるようになります。

統合:感情と行動の折り合い
分化した複雑な感情に振り回されることなく、「悔しくて悲しいけれど、次は頑張ろう」と感情を自分の中で整理し、行動をコントロールする力が芽生えます。これにより、ストレスへの対処力や情緒の安定がもたらされます

アイデンティティの視点

自己理解を深めていく時期です。

分化:多面的な自己の発見
「走るのは速いけれど、漢字のテストは苦手だ」「家ではわがままだが、学校では係の仕事をしっかりやる」など、状況や能力に応じた多面的な自分を分けて捉えることができるようになります。

統合:等身大の自己像の形成
得意な自分も、苦手な自分も、すべて合わせて「これが自分なんだ」という一つのまとまった自己像を作り始めます。これが、のちの青年期におけるアイデンティティ確立の重要な土台となります。

友人関係(社会性)

家族中心だった世界から、学校の集団や仲間中心の世界へとシフトします。

分化:他者理解と関係性の区別
「自分と他人は違う考えを持っている」という個の分化が進みます。また、「何でも話せる親友」「サッカーをする仲間」「クラスの係が同じ人」といった、相手に応じた関係性の分化が起こります。

統合:集団のルールへの適応と絆
お互いの違いを認めた上で、「ルールを守って集団で遊ぶ」「力を合わせて目標を達成する」といった、社会的な人間関係への統合(集団への帰属意識)が行われます。

学童期の分化と統合のまとめ

分化がうまくいかないと:
物事を大雑把にしか捉えられず、勉強のつまずきや、感情のコントロール不足に繋がります。
子どもが「僕はダメだ」と大雑把な絶望に陥っているときは、「算数の引き算が苦手なだけだよね」等、課題を細かく分解してあげてください。
全否定ではなく、部分的な課題として捉え直させることが大切です。

統合がうまくいかないと:
知識や自分の感情、多面的な自己像がバラバラなままであり、劣等感に圧倒されたり、情緒が不安定になったりします。
「良いところも悪いところも含めて、自分は価値がある存在だ」と、子どもが自分自身を一つの形に統合できるように手助けすることが大切です。

まとめ

いかがでしょうか。
今回は学童期の停滞期をみつめてみました。
学童期は小学校1年生から6年生までと幅広く、特性が全く異なります。
小学校高学年ともなれば、アイデンティティ確立に向けて1歩を踏み出す準備が始まります。

それでは本記事での最重要項目をまとめていきます。

 ✔ 1~2年生は新たな環境に適応しようと必死で頑張っている
 ✔ 3年生以降、抽象的思考への推移と友人関係の変化が生じる
 ✔ 親の役割も子供の成長に応じて変化していく

急成長を遂げる子どもたちのスピード感には驚かされます。
自分でできることも増え、自律性が高まる時期でもありますが、悩みがどんどん多様化する時期です。
「信じているよ、見守っているよ」のメッセージを常に送り続けましょう。

さて、当ブログでは「子どもにも大人にもある停滞期」をじっくり考えています。
次回は第3回「青年期の停滞感」についてです。
ぜひチェックしてみて下さいね!

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