子どもも大人も、右肩上がりの直線ではなく、階段のように急成長と停滞を繰り返しながら成長していきます。
特に乳幼児期から青年期にかけての発達はめざましいものがあります。
しかし、成人期以降、もちろん老年期においても衰退の過程ととらえられるべきではありません。
「生涯発達」という考え方が広まってきています。
停滞期には何が起こっているのでしょうか。どんなふうに接してあげたらいいのでしょうか。
この停滞期の謎は、分化と統合にヒミツがあるかもしれません。
当ブログでは、理学療法士と上級心理カウンセラーの資格を持つママが、各年代での停滞期を見つめていきたいと思います。
今回はその第1回「幼児期の停滞感」についてです。

この記事は、
✔ 子どもの発達に関して疑問がある方
✔ 日々手ごわくなるお子さんにお困りの方
✔ イヤイヤ期・反抗期の仕組みを知りたい方
に向けて作成いたしました。
本記事が、少しでも皆様のモヤモヤ解消のヒントになれば嬉しいです。
分化と統合
人間は、未熟な状態(未分化)で生まれますが、発達とともに機能が細かく枝分かれし(分化)、
それらを複雑に組み合わせることでより高度なことができる(統合)ようになります。
動作
赤ちゃんの小さなおててを思い出してください。
赤ちゃんはおててをずっと握っていたままで、自由に曲げ伸ばしができません(未分化)
やがて、グーやパーをするようになり、チョキやオッケーなどができるようになります(分化)
そのうち、両手同時、歩きながら、歌いながらでもできるようになってしまいます(統合)
感情
分化と統合は、感情面でも起こっています。
生まれたばかりの赤ちゃんは、「快(心地よい)」か「不快(お腹が空いた、痛いなど)」かを感じ取り、私たちに訴えてきます。この状態は未分化にあたります。
2歳頃には「怒り」「悲しみ」「恐怖」「嬉しい」「楽しい」など、感情が分化していきます。
4歳以降になると、「悲しいけれど我慢して落ち着こう」などと、自分の理性を組み合わせて感情を統合できるようになります。
心とからだ
子どもの頃の心とからだはくっついています。
感情表出においては、感情と身体が分離していない状態です。
地団太を踏んで怒る、という言葉がありますね。
怒りや悲しみ、悔しさを身体全体を使って表現します。
4歳以降になると、感情を表情や言葉で表現するようになっていきます。
もっと大きくなると、表情を取り繕ったり、言葉を飲み込むといったことも可能になります。
こう考えてみると、幼児が自分の思い通りにいかないとき、泣いて、怒って、なんなら叩いたり噛んだり大騒ぎになる理由がなんとなくわかったような気がしますよね。
心と人間関係
生まれたばかり赤ちゃんは、お母さんと自分は一体だと感じています(未分化)。
2〜3歳になると、ママと自分は別の人間であるということに気づきます 。
分化したからこそ、わざと意見に逆らって「イヤ!」と言ったり自分の意見を押し通すことで、自分の境界線を確かめようとします。
4歳になると、「自分はこうしたい。相手はどうだろう」と、お互いの意見を認め合うことができるようになっていきます。
お互いが楽しく遊ぶためにどうすればいいか考え、譲ったり、妥協点をみつけたり、相談するという手段を獲得するのです。
自分と他者を統合し、社会に調和していく段階です。
イヤイヤ期
幼児期の分化と統合を踏まえて、イヤイヤ期をみつめていきましょう。
イヤイヤ期を考えるうえで大切な要素をお伝えしたいたします。
心の境界線
自分が独立した存在であること、ママの意見と自分の意見が違うことに気づき、大混乱しています。
あえて「イヤ!」と拒絶することで、心の境界線を学んでいます。
これが将来、アイデンティティ(自己同一性)の基礎になります。
とはいえ、まだまだ言葉が拙い時期なので、「とにかく嫌!」「ギャー!」と泣き叫び、肉弾戦になりがちです。
感情のコントロール
自分の思い通りにならなかったとき、癇癪を起こし、泣き叫びます。
親に受け止められたり宥められたりする経験を繰り返すことで、脳のブレーキ(前頭前野)の神経回路が少しずつ鍛えられていきます。
次の項では、イヤイヤ期の性質に基づいて、具体的な攻略法を提示いたします。
実況中継で乗り切るべし
イヤイヤ期は実況中継で乗り切るべし!
3つの視点からのサポートがおすすめです。
「意図・計画(やりたかった手順)」の代弁
子どもにも、こだわりや計画があります。それが崩されたときに激怒します。
「お洋服を自分で着たかったんだね」「お人形を並べてからご飯にしたかったんだね」
「ママは分かってくれた」という安心感を与え、自分の行動の目的を客観的に振り返る力を育てます。
「身体の感覚・欲求」の代弁
「眠い」「お腹が空いた」「疲れた」「暑い」といった身体の不快感を、自分自身で正しく自覚できません。自覚できないまま「なんかイライラする!イヤイヤ!」と爆発しています。
「たくさん歩いて、足が疲れたね」「お外が暑くて、喉がカラカラだね」
自分の身体のサインと、イライラの原因を結びつける練習になります。
将来、「疲れたから少し休もう」「暑いから水を飲もう」とセルフケアする力につながります。
子どもが見ている「事象(状況)」の代弁
目の前で起きたアクシデントを冷静に捉えられず「全部敵!」とパニックになります。
「積み木がグラグラして倒れちゃった」「牛乳がコップからこぼれちゃったね」
親がを淡々と状況を代弁してあげることで、子どもは感情の渦から抜け出し、「あ、倒れたんだ/こぼれたんだ」と状況を客観的にとらえる力を持てるようになります。
イヤイヤ期のまとめ
いかがでしょうか。
感情だけでなく、「意図」「身体の感覚」「状況」を言葉にしてあげることで、子どもの脳内ではバラバラだったピース(未分化な不快感)がパズルのようにカチッと統合されていきます。
実況中継は、怒りボルテージ上昇中の私たちにもとっても特効薬です。
客観的に実況しながら怒り続けることはできません。
自分の気持ちやどうしてほしいのかを、独り言でも構いませんのでぜひ声に出してください。
反抗期
幼児期の分化と統合を踏まえて、イヤイヤ期をみつめていきましょう。
イヤイヤ期を考えるうえで大切な要素をお伝えしたいたします。
意見を論理的に組み立てる
自分の「嫌だ」「こうしたい」という主観的な気持ちに、理由をつける練習をしています。
子どもたちは、身近な人を観察し、言葉や論理という武器を絶えず磨いています。
そのため、痛いところを突くような発言も増えます。
自分の中の理想を形・行動にするスキル
記憶力や想像力が発達し、こだわりや理想の計画が、子どもたちの頭の中に出来上がっています。
こだわりを貫こうとする反抗は、自分の頭の中の計画(理想)を、現実世界で妥協せずにやり抜く力を鍛えている証です。
心の強さ(親への絶対的な信頼とレジリエンス)
大好きなママと意見が対立することは、子どもにとって物凄くエネルギーがいる怖いことです。
それでもあえて反抗してぶつかることで、「意見が違っても、自分とママの絆は壊れない」という安心感を何度も確認しています。
社会に出ると、計画通りにいかないことばかりです。
「失敗しても別の方法がある」という心の底力(レジリエンス)を育てています。
次の項では、イヤイヤ期の性質に基づいて、具体的な攻略法を提示いたします。
落ち着く時間をつくってあげることが大切
反抗期では、心を落ち着ける時間を与えるべし!
3歳頃は、自分の中に強いこだわりや計画が生まれる一方で、感情や衝動をコントロールする脳の機能(前頭前野)がまだまだ未熟な時期です。
自分だけの完璧な計画が崩れた瞬間、強いショックと絶望感を味わい、処理しきれないイライラを爆発させてしまいます。
感情が爆発している真っ最中は、どんなに合理的な提案も耳に届きません。
以下の3ステップを意識してみるのが効果的です。
まずは気持ちを代弁する
まずは子どもががやりたかった「計画」と「気持ち」をそのまま言葉にして共感しましょう。
「そんなに怒らないの!」
「そのスプーンでブロックを全部移したかったんだね」
「ブランコしたかったね、公園に行けなくて悲しいね」
自分のこだわりを理解してもらえたと感じると、子どもはそれだけで少しずつ落ち着きを取り戻し始めます。
落ち着くまで時間をあける
ここを飛ばしてしまうと、何をしても、何を言っても火に油を注ぐことになります。
「ちがう遊びをしよう」
「もっと使いやすい道具でやってみようよ」
「落ち着いたら教えてね」
大人の説得や提案は、どんなに筋が通っていても、子どもたちにとっては「自分がやろうとしていた理想の計画を否定・修正された!!」という受け入れがたいお話しなのです。
嵐が過ぎ去るのを静かに待ちましょう。
落ち着いてから改めて提案していく
「公園は晴れてるときにまた行こうね。約束だよ。」
「さて、どうしようか!」
落ち着いてから!これが最重要です。
反抗期のまとめ
2歳頃は、脳が未熟で、待っていてもこどもひとりでは平静には戻れません。
まだ「自分がなぜ怒っているのか」すら分かっていないからです。
一方で、3歳頃になると、少しずつ理性の脳(前頭前野)が働き始めています。
感情が爆発した瞬間は一時的に脳がパニックを起こしますが(脳内アドレナリンの急増化)、そっとしておくことで平静にもどることができるようになっていきます(脳内アドレナリンの自然な低下)。
クールダウンの時間を作ることで、自分の行動を自分で修正したり、他人の言葉を受け入れることができます。この時期から、問題解決の力を蓄えていきます。
この記事のまとめ
いかがでしたでしょうか。
子どもたちの癇癪の理由がなんとなくイメージできましたか?
幼児期は、脳が未発達であることから、自分自身の不快感を表現できなかったり、様々な感情に対する理由・認識・対処法の結びつきも曖昧です。知らないものだらけです。
頭の中の地図に突如として新しい道ができたと思えばそこはまだまだ工事中、大混乱の真っ最中です。
そんな時大切なのが、急かさず交通整備の手助けをしてあげることです。
さて、本記事での最重要項目をまとめていきます。
✔ 停滞期は次への準備期間
✔ 分化と統合を繰り返し成長していく
✔ イヤイヤ期は実況中継で乗り切る
✔ 反抗期は落ち着かせる時間をつくってあげる
この記事の内容が、少しでも皆様のお力になれれば幸いです。
さて、当ブログでは「子どもにも大人にもある停滞期」をじっくり考えています。
次回は第2回「青年期の停滞感」についてです。
ぜひチェックしてみて下さいね!

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